09.01月17日 | ||
富士経済、化粧品など医薬部外品市場調査、08年の医薬部外品市場は横ばいの1兆978億円 | ||
富士経済は、2008年10月?12月にかけて医薬部外品市場の調査を行った。その結果、2008年の医薬部外品市場は横ばいの1兆978億円に達し、2009年は微増し1兆992億円の見込むなどが明らかになった。なお、詳細を報告書「医薬部外品マーケティング要覧 2009」にまとめた。この調査では、オーラルケア、化粧品・トイレタリー、サニタリー、防虫・殺虫剤、新医薬部外品などの医薬部外品を対象とし、厚生労働省の薬効分類をベースに使用場面に準じた21分類について市場構造、市場動向を明らかにした。なお、新医薬部外品とは、1999年、2004年の医薬品販売の規制緩和によって医薬品から医薬部外品に移行された品目を指す。2008年の医薬部外品市場は、前年比横ばいの1兆978億円となった。医薬部外品メーカーは、原材料高騰による収益性低下や値上げによる消費者の購買意欲低下を払拭するため、積極的な新商品投入を行うことで市場規模の維持・拡大に努めている。薬用スキンケア、薬用ヘアケア・スカルプケアが微増しているほか、のど清涼剤や防虫(忌避)剤などが実績を伸ばしたものの、多くは横ばい、または微減となった。2009年の医薬部外品市場は、前年比0.1%増の1兆992億円が見込まれる。2008年と同様に薬用スキンケア、のど清涼剤、防虫(忌避)剤などが拡大する見通しだ。なお、4月には改正薬事法が施行され一部の医薬品が薬局・薬店、ドラッグストア以外の店舗でも販売が可能となり、機能や訴求の競合する一部の医薬部外品については少なからず影響を受ける可能性があるとみられる。2008年に市場規模が最も大きい分類は薬用スキンケアで、医薬部外品市場の4割近くを占めている。次いで、薬用ヘアケア・スカルプケア、ドリンク剤、薬用ボディケア、薬用オーラルケアの順に大きく、この5分類で医薬部外品市場の8割以上を占めている。薬用スキンケアは、薬用美容液、薬用化粧水、薬用モイスチャー、薬用乳液、薬用洗顔料などを対象としている。市場は6割近くを占める薬用美容液と薬用化粧水の動向に左右され、近年は薬用美容液が実績を伸ばし市場拡大が続いてきた。2008年は「プロアクティブ」(ガシー・レンカー・ジャパン)や「茶のしずく」(悠香)といった通販ブランドの薬用洗顔料が実績を伸ばしたものの、薬用美容液や薬用化粧水が前年を割り込んだことから、市場は0.6%増の4156億円に留まった。薬用ヘアケア・スカルプケアは、薬用シャンプー・リンスでは「h&s」(P&Gジャパン)が、薬用スカルプケアでは通販チャネル展開される柑橘エキス配合の育毛剤がそれぞれ実績を伸ばし、2008年の市場は1.0%増の1908億円と拡大した。しかし2009年は、「h&s」が牽引してきた薬用シャンプー・リンスの伸びが落ち着き、市場は微減が見込まれる。ドリンク剤は、医薬部外品に移行し販売店が増えたことで市場は拡大したが、その後は価格競争が激化したことで一進一退が続いている。2008年は前年比0.1%減の1343億円となった。清涼飲料水や医薬品分類のドリンク剤との競合だけではなく、特定保健用食品のドリンク類や女性向け美容訴求のドリンクの台頭もあり、市場は今後も緩やかな縮小が見込まれる。薬用ボディケアは、浴用剤、腋臭防止剤、薬用石鹸、薬用ハンドクリーム、薬用リップクリーム、薬用ボディシャンプー、薬用ボディローションなどを対象としている。2008年は夏季の天候に恵まれ需要が旺盛だった制汗消臭剤や薬用ボディローション、プレフォームタイプが需要を獲得した薬用石鹸などが好調に推移したものの、薬用ハンドクリームの需要が化粧品類へシフトしたことや、最も市場規模の大きい浴用剤が微減となったことで、市場は0.5%減の1018億円となった。2009年も市場の縮小が続くと見込まれる。薬用オーラルケアは、薬用歯磨剤、薬用洗口液、口中清涼剤を対象としている。近年はオーラルケア意識の高まりを背景として薬用洗口液の新製品投入が相次ぎ、その実績が市場拡大に貢献してきた。薬用洗口液は急成長の反動で2007年にマイナスとなったが、参入企業の注力度は高く2008年は再びプラスに転じた。薬用歯磨剤も堅調な推移となった。しかし、口中清涼剤が参入企業の撤退で大きく実績を落としたことから、オーラルケア市場全体では前年比0.6%減の799億円となった。薬用洗口液も新製品投入が一段落し、今後は安定的な成長が予測されるため、2009年の市場は微増が見込まれる。薬用シャンプー・リンスは、2008年が293億円(前年比110.6%)に達し、2009年が295億円(前年比100.7%)を見込んでいる。医薬部外品のシャンプー、リンス、トリートメントを対象としている。フケ・かゆみの予防を訴求する商品が市場の9割を占め、1割が育毛を訴求する商品となっている。フケ・かゆみ予防訴求では「メリット」(花王 プレミアム化粧品)が代表格である。さらに、2007年に投入されたプレミアム訴求ブランドの「h&s」(P&Gジャパン)から2008年は「ヘッドスパクリーム」が発売され実績を拡大したことから、市場は前年比10.6%増の293億円となった。しかし、「h&s」も発売3年目を迎えることや、育毛訴求商品が実績を減らしていることから、2009年の市場は微増に留まると見込まれる。防虫(忌避)剤は、2008年が44億円(前年比104.8%)に達し2009年が46億円(前年比104.5%)に達する見通しだ。腕や足などの衣服から露出する部位に塗布し害虫からの忌避効果を訴求した液剤、軟膏剤などの外用剤を対象としている。蚊・ブヨ・ノミ・イエダニなどの発生が多い夏季が最需要期である。2008年は大日本除虫菊が「プレシャワーUV トロピカルフルーツの香り」を投入したことや、アース製薬など上位メーカーが宣伝活動を集中的に実施し需要獲得に努めたことで4.8%増の44億円となった。殺虫剤への抵抗感を感じる消費者が増加していることから今後も防虫(忌避)剤に対する需要の高まりが予想され、また、薬剤の飛び散り防止機能や肌への負担軽減などの改良によって需要を取り込み、市場の拡大が見込まれる。しかし、不快害虫の発生状況によって需要が左右されるため、夏季の天候によって市場規模は大きく変化する。制汗消臭剤は、2008年が202億円(前年比101.5%)に達し、2009年が204億(前年比101.0%)を見込む。足以外の部位の汗臭予防を目的とした外用剤を対象としている。制汗消臭剤は、5月頃から夏季の天候・気温に需要が左右されるが、空調設備によって冬季でも汗ばむ環境が増えていることや、ニオイに対するケア意識が高まっていることを背景に、需要の通年化が進んでいる。2008年は7月?8月にかけて比較的気温の高い日が続き、前年比1.5%増の202億円となった。ケア意識が高まっていることや、スプレータイプと比較して高い制汗消臭効果が期待できるスティックタイプが好調なことから、2009年も市場の拡大が見込まれる。 |