13.08月29日 | ||
緑膿菌で爪が変色 | ||
指先を華やかに彩るネイルアート。最近は、より気軽に楽しめる「ジェルネイル」という技法が広がり、若い女性を中心に利用者が増え続けている。一方で、施術の不良や、適切なメンテナンスを怠ったことによる爪のトラブルも増えている。緑膿菌の繁殖により爪が緑色に変色してしまう「グリーンネイル」もその一つ。特に高温多湿で菌が増殖しやすい今の季節は注意が必要だ。 ▽急速な普及 NPO法人日本ネイリスト協会(JNA) 発行の「ネイル白書」によると、2005年に1114億円だったネイル産業の国内市場規模は年々拡大を続け、昨年は2165億円(見込み)に達した。プロのネイリストが施術するネイルサロンの増加だけでなく、材料を購入してユーザー自身が施術するセルフネイルへの関心も高まっている。 だが、急速な普及は問題も生んだ。感染やかぶれ、やけどなどの健康被害が報告され、国民生活センター は08年、具体的な事例を公表して注意を呼び掛けた。 「しっかりした衛生管理や一定の技術レベル、さらに定期的なメンテナンスがないと、トラブルの恐れがあります」とJNA理事で法制委員長の萩原直見さんは話す。 JNAは衛生管理自主基準を定め、技能検定試験やサロンの認定制度を通じて業界のレベルアップを図っているが、開業や施術に規制はないため、水準に達しない施術者もいるのが実情という。 ▽増殖の温床 萩原さんによると、ネイルの主な技法には、アクリルの液体と粉末を混ぜて人工のつけ爪を成形するスカルプチュアや、水あめ状のウレタン樹脂などを爪に塗り、紫外線や可視光線で硬化させるとつけ爪になるジェルネイルがある。 しかしつけ爪は、時間が経過すると自分の爪との間に隙間ができることがある。そこに緑膿菌が侵入し、さらに手洗いや入浴などで水分が入り込むと菌が増殖を始める。放置すれば、爪は薄い緑色から濃い緑色、さらに暗緑色へと変色してしまう。痛みはない。 実は、グリーンネイルは、つけ爪に起因するものばかりではない。「水分と緑膿菌、その温床となる隙間という条件がそろえば起こり得ます。例えば外傷で爪の下に出血が生じた場合。爪と、その下の爪床との間に血がたまり、密着性が損なわれる。そこに緑膿菌が入り込めば発症の可能性があります」と、東京・世田谷の榊原クリニック (形成外科、皮膚科)の榊原維聡院長は説明する。 ▽3週間が目安 また、真菌(カビ)の感染で起きる爪白癬(爪水虫)や爪カンジダ症などの病気にかかっている場合も、グリーンネイルが合併しやすいという。 緑膿菌自体は土壌や水中、人の皮膚などから検出されるありふれた常在菌だ。免疫力の低下した人が感染すると肺炎や敗血症などを起こすことがあるが、健康な人にはほとんど害がない。このため通常は、グリーンネイルがほかの指や他人にうつることはない。 グリーンネイルが疑われたらまず、つけ爪を外す。このとき自分で無理にはがすのは禁物。爪が薄くなり傷んでしまう。ネイルサロンでプロに任せよう。患部を清潔にして乾燥させ、皮膚科を受診する。「抗菌剤を塗れば治ります。ただし爪白癬などの病気がある場合は、その治療を優先します」と榊原院長。 予防策はあるのか。大切なのは信頼できるネイルサロンでの施術と、こまめなメンテナンスだ。「つけ爪が少しでも浮いたら、お手入れが必要です。異常がなくても、3週間前後を目安に付け替えましょう。安全にネイルを楽しんでほしい」と萩原さんは話している。 |
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