09.07月03日 | ||
闘病支える美容師人生 | ||
体に4か所のがんを患いながら、美容師として活躍する遊佐町直世の佐藤由美さん(47)。自らの半生を振り返った「余命ゼロを生きる」(WAVE出版)が完成し、6月29日から全国の書店で販売されている。「自分の人生はすべて自分次第。後悔のない人生を歩むことが大事」とのメッセージを込めたという。 今年2月下旬、WAVE出版(東京都千代田区)の玉越直人社長が都内の美容室で佐藤さんの話を聞き、遊佐町に訪ねてきたのがきっかけ。初めは戸惑ったが、玉越社長の熱意に押された。病院に通院しながら、美容師への挑戦やがんとの闘いを一つ一つ思い起こして執筆した。 がんを告知されたのは2004年10月。遊佐町にヘアサロン「Hair Make『DEAR』」を開店した2年後だった。難病の「腺様嚢胞(せんようのうほう)がん」が顔にできた。「何がなんだか分からなかった」とぼう然とした佐藤さん。しかし4日後、自慢の長い黒髪をばっさりと切り、闘病生活に入った。 「治療は想像以上だった」。放射線治療や、顔にカテーテルを入れる動脈注射。過酷な入院生活でも「心だけは病人になりたくない」と思い、自前の派手なパジャマを着たり、同室の患者にシャンプーをしたりして「自分らしさ」を保った。がんはその後、目や首、肺に転移して再度入院。現在は、週に3?4回、酒田市の日本海総合病院に通いながら美容師として店を切り盛りする。がんとの闘いはこれからも続くが、佐藤さんは今、美容師として働ける幸せをかみしめているという。 「美容師は七五三や結婚式などお客様の人生の大事な場面に立ち会える」と魅力を話す。「今後もお客様の頭だけでなく、心もケアできるようなサロンであり続けたい」と話している。 本書では闘病生活のほか、美容師への挑戦や、ニューヨークでの出会いなども綴(つづ)られている。176ページ。1470円(税込み)。問い合わせはWAVE出版 |